第9章 よかった、間に合った
部活がない、友達もいない春休みは長かった。
私は春休みの大半を勉強して過ごした。
だって他にすることないし。
ペンケースの中に藍田くんが買ってくれたシャーペンが入ってる。
捨てようかとも思ったけど、大事に持ってる。
私はこの期に及んで、一人でいるのが怖いんだと思う。
息抜きにはネットとか雑誌を見て、メイクとかヘアアレンジの練習して遊んだ。
頭の良さも可愛さも、きっと私の支えになる。
まだまだ足りないけど、全然ないよりマシ。
頑張って可愛くしてれば、また藍田くんみたいな男の子が私を見つけて、私をオモチャにしてくれるかもしれない。
…
新学期が始まった。
私たちは2年生になった。
始業式、私は空気を読むためにきちんと地味めにして登校する。
マスカラはしてないけど、まつ毛はあげてるし、髪と肌の手入れは完璧だけど。
新しいクラスの名簿を見る。
…よりによって、アヤと一緒のクラスだ。
仕方ない。
川口くんはいない…まだよかった。
藍田くんも…別か。
うん。一年間、頑張ろう。
…
教室に入ると、すでにアヤはいた。
アヤは数人の女子と輪になってワイワイしゃべってる。
アヤがこっちを見ると、周りの女子も私をチラ見する。
私は目をあわせないように、前を向いて、席を確認して座る。