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僕の小説のモデルになってください

第9章 よかった、間に合った


3学期の終業式がやっと終わった。

やっとクラスの人と離れられる。

きっとクラスの女子には、友達裏切って抜けがけする男好きだと思われてるし、男子には人気者の爽やかイケメンに意地悪する怖い女と思われてる。

そんな人たちがバラバラになってくれる。

多分、何人かはまた同じクラスになるとは思うけど、今まで通り隅っこでおとなしくしてやり過ごそう。



藍田くんは電話してこなくなった。

そのかわりメッセはたまにくる。2日に1回ぐらい。

元気? とか、宿題した?とかそんなの。

私は返したり返さなかったり。

このままフェイドアウトすればいい。

アドレスを変える勇気も、完全無視する勇気も私にはない。

そういえば、こういうメッセ、体育祭の前にしてた。

そのときはもっと頻繁に、1日何度もやり取りしたけど。

あのとき…告白断られたとき、もっと押してみればよかった。

うーん…どんなセリフがいいかな。

「好きな人がいてもいいよ。大丈夫! 気にしない!」

「2番目でもいいよ。内緒でコッソリ付き合おっ!」

「その人より、わたしのほうがきっといい思いさせてあげられるはず…。だから、わたしにしてっ!」

どれも変で強引だけど…。

結果そうなんだもん。

時間が経ってからでも言えばよかった。

「わたし、まだ藍田くんのことが好きなの。藍田くん、まだ誰とも付き合ってないなら、とりあえず、わたしと付き合おうよ」

って。

アヤに聞かれたとき、川口くんに聞かれたとき言えばよかったんだ。

「片思いなんだけど、わたし藍田くんのことが好きなの」

って。

「藍田くんはわたしのこと、好きかどうかわからないけど、デートするし、キスしたりもするんだ」

って言えばよかった。

自分の変なプライドが邪魔して、誰にもそんなこと言えなかったんだ。

わたしのせいだ。

全部、わたしが悪いんだ…。

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