第8章 えっと、ごめん
私は休み時間、自分の席で本を読んで一人で過ごす。
もう3学期だし、適当にやり過ごせばいいや。
毎日がなんとなく過ぎてく。
顔見てコソコソ話されるのだけはきついけど、きっとそのうち慣れるし、向こうも飽きるかな。
放課後、サッサと帰ろうと教室を出ようとしたとき。
「鈴原」
川口くんに呼び止められる。
私は一応、立ち止まる。
「鈴原、最近部活休んでるみたいだけど、どうしたんだ? 身体の具合でも悪いのか?」
川口くんが心配そうに尋ねる。
相変わらずいい人だね。川口くん。
「身体の具合は悪くない。ていうか、もう私に話しかけないで。迷惑」
私は答えて、教室をサッサと出る。
…
「鈴原さん」
帰り道、藍田くんが後ろから駆け寄ってくる。
私は振り返り、立ち止まって彼を待つ。
「僕は話しかけても大丈夫? 迷惑じゃない?」
「聞こえてたんだ」
私は少し笑う。
「まあ、クラスの半分ぐらいに聞こえてたんじゃないかな?」
「そっか。藍田くん、意地悪な女だと思った? わたしのこと」
「いや、僕はゾクゾクしたけどね。いい意味で」
「ふふっ。キモイ」
「今日、家に来る?」
「うん、行く」
私たちは並んで帰り道を歩く。
クラスの人に見られたらいいのに。
友達いないヤツ同士でつるんでたよ、とか噂してバカにすればいい。