第7章 僕には似合うね
部活は楽しい。
走ったりするのは辛いけど、ボールをさわるのは楽しいし、みんなでワーワー言いながら片付けしたり、片付けしながら遊ぶのも楽しい。
これが青春ってやつかなぁなんて思ったりもする。
藍田くんも青春したいなら何かスポーツでもすればいいのに。
今度勧めてみようか。
絶対やらないと思うけど。
私は同じ1年のアヤと一緒にバスケットボールが入ったキャスター付きのカゴを体育倉庫に運ぶ。
倉庫の入り口からちょうど川口くんが出てきた。
「よっ! おつかれ」
川口くんに声をかけられる。
「おつかれー。男バスも今、終わり?」
「うん。それしまっといてやろうか?」
「いいよ、いいよ。大丈夫」
一応、一回断る。
「遠慮すんなよ」
川口くんがカゴをコロコロ引っ張る。
「ありがとう」
私たちはお礼を言って手を離す。
そして手を振る。
「じゃあねー」
「おう、またな」
…
「ねぇ、川口くんて優しいね」
アヤが私に言う。
「そうだね」
私も同意する。
「彼女とかいるのかな?」
「さぁ…。聞いたことないから、いないんじゃない?」
あ、でも今はどうかわかんないかな?
「みなみ、川口くんと仲良いよね?」
「え? まあ一緒のクラスだからね」
「いいなぁ」
「もしかして…アヤ、川口くんのこと…」
「内緒だよっ」
アヤが唇に人差し指をあててシーッてする。
私も唇に指をあててにっこり笑う。
そっかぁ。青春だね。