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僕の小説のモデルになってください

第5章 君は賢いね


その後、彼はずっと黙って机に向かってた。

まあ、勉強してるんだから黙ってても不思議じゃないけど。

私は壁にもたれて教科書見たり、スマホ見たり、彼の後ろ姿を眺めたりする。

怒ってるのかな…。

好きな人のこと聞いたから?

でもその話を振ってきたのは藍田くんだけど。

本当、バカにもわかるように話して欲しいわ。まったく。

ふと、彼が後ろを振り返る。

「パンツ見えてるよ。みなみ」

「えっ? あっ…」

膝を立ててお行儀悪く座っていた私は、慌てて膝を下ろし、スカートの裾を引っ張る。

「水色」

彼が得意げに言う。

「わ、わわ…。そんなにちゃんと見えちゃった?」

「他の男に見せちゃ駄目だよ」

「うん」

「よしよし」

彼はニコニコして私の頭をなでなでする。

私は彼の目をじーっと見上げる。

「うん?」

彼も私の目を見て首を傾げる。

私は聞いてみる。

「怒ってるのかと思った」

「どうして?」

「黙ってたから」

「ふふっ…」

彼が私の唇にチュッとキスする。

そしてニコッと微笑む。

……。

私の目から涙が急にあふれ出す。

「えっ…」

彼が驚いて私の顔を覗き込む。

「怒ってないって…大丈夫だよ」

優しい声で私をなだめる。

「違う…キスしたから…」

「は?」

「舌いれないで初めてキスしたから…ぐすぐす…うわーん…」

泣きながらしゃべったら、余計涙が出てきちゃった。

「そんなことで泣いちゃうの…?」

彼が私の横に膝を抱えて座る。

私も自分がなんで泣いちゃったのかよくわかんない。

でも涙が出てくる。

藍田くんは特に気がきいたことも言わず、私の背中をポンポンとした。

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