• テキストサイズ

僕の小説のモデルになってください

第5章 君は賢いね


「本当に駅まででいいの? 家まで送るよ?」

「いいよ。駅までで」

私たちは、藍田くんの家から駅まで手を繋いで歩く。

「優しいね、藍田くん。今日」

「いつも優しくない?」

「んー…よくわからない」

「そっか」

駅に着く。

「バイバイ、藍田くん」

「バイバイ。明日も家に来てくれる?」

んーどうしようかな。

私は聞き返してみる。

「来て欲しいの?」

「うん」

彼は素直に頷く。

「じゃあ行く」

私も素直に返事する。

「……」

でも彼は何か言いたげな顔で、私の手を握ったまま。

「うん?」

私は首を傾げる。

彼は私と周りの様子を見て話し出す。

「また、チュッてキスしたら泣いちゃう?」

「え? いま? ここで?」

「うん」

「人いるよ?」

「大丈夫、すぐ終わる」

「う、うん…」

私が頷くと、彼はチュッて私の唇にキスした。

そしてパッと手を離す。

「バイバイ、みなみ。また明日ね」

彼はその手を振って、サッサと去って行った。

でもちょっと顔が赤くなってたの見ちゃった。

多分、私はそれ以上に赤いけど。

涙は出なかった。


/ 85ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp