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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第10章 ありきたり風


朝、目覚めるとローの腕の中だった。
そこはもう慣れたので気にならないのだが、昨夜の情事を思い出して赤くなるリンだった。
しかもタイミングよくローも目を覚まし、赤くなっているリンの頰へキスをした。


「朝からなんて表情してくれるんだお前は」

「うるさい」


それからローにちゅっちゅと頰や額、鎖骨、唇などにキスをされ、ようやくベッドから抜け出せたのだった。


食堂へ向かい、朝食を食べる。
ローの嗜好に自然に同化していき、今ではリンもご飯一筋だ。パンが嫌いなわけではないが。

リンが好きなのは、白いおにぎり。
具も何も入っていないおにぎりだった。

もぐもぐと食べていると、シャチがやってきた。

「船長おはよっす‼︎リン!おはよ!これ飲め‼︎」

「とうとつにもぐもぐ…なにもぐもぐ」

コトンと置かれた一見普通のお茶。しかしシャチが持ってくる時点で怪しい。怪しすぎる。

「…これなに」

「害はねぇから!な?お前しかいないんだよ適役が」

懇願するシャチに、しぶしぶお茶を飲み干す。

「…はー、やっぱり緑茶はおいしいな」

にこにこなリンとは裏腹に、シャチとローは固まっていた。

「やっ…やったー‼︎」

「…シャチ、よくやった」

「あざっす‼︎」

ローがシャチを褒めた…とリンは心底驚いていた。しかし一体自分の身に何が起きているのだろうか。
お茶は普通に美味しかったが。

「ロー、私、どうにゃってるにゃ?…?にゃ?」

どうもな行がしっかり言えない。

そして、隣にいるローはわなわなしている。


「ロー?」

「…っ」

スッと手を伸ばしてきたと思えば、頭にある何かに触れる。

「にゃ⁈」

「…」

そのまま頰にするると手を滑らす。それが気持ちよくて自分からローの手にすりすりとすり寄った。

嫌な予感しかしない。

ばっと鏡のあるところまで走っていくと嫌な予感は的中。


「ねこ…とか…ありきたりすぎにゃ!!!」



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