ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第9章 花風*
ローはくったりしているリンを抱えると、バスルームへと向かう。そのまま半分溜めておいたお湯へ体を静める。
「あったかい」
ほっ、という表記がすごく合う表情をしたリンの頭を撫でる。
「しっかり温まり直せよ。女は冷やすといろいろ面倒だからな」
「ん。寒くないよ」
「寒くなくても冷えてんだ、腹とか」
「へぇ…」
とても激しいことをしていた後とは思えない会話だが、これが心地よかった。
ローは後ろからしっかりリンを抱き締め直す。
「ロー、」
「ん?なんだ」
リンが、ローに寄りかかり、身をまかせる。
「今、心臓のとこがじんわりあったかいんだ。これが幸せってやつなんだな」
目を閉じて気持ちよさそうにしながらリンは言う。
ローは片方の手でリンの顎を上げると、上からかぶさるようにキスをした。
「おれも、同じ症状だ」
そう言うと、リンは照れ臭そうに、でも嬉しそうに笑顔を見せた。
それからリンの後処理を事務的にこなし(医者目線で行かないとローのローがカウンターショックするから)、ベッドに潜り込んだ。
リンは疲れたのか、すぐに夢の中へと旅立った。
そんなリンの髪を撫でながら、ローは幸せの余韻に浸っていたのだった。