ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第9章 花風*
想いを伝えあってから早3日。
イーズー島のログはたまるのが早く、2日しか滞在しなかった。
そしてローは、なんら変わらないリンの行動に少し不満を覚えていた。
例えば、後ろから抱きしめてもいつもと変わらずにはいはいと返事をするだけであり、また、不意に頰にキスをしても無反応だ。
そこでローは気付いた。
(おれが毎日(愛情表現)しすぎてた所為で意識しねぇのか…⁈)
完全なキャラ崩壊である。
そんな頃、甲板で空を眺めぼーっとしていたリンにペンギンとシャチが話しかけていた。
三人で円になって座り、まるで秘密作戦を練っているように。
「なぁリン、お前なんかやらかしたのか?」
「何かってなに」
シャチが問うが心当たりのないリンはキョトンとした顔で答える。どうせそんなことだろうと予測していたペンギンが一連の事を話す。ローの機嫌がよろしくないと。
「あー…」
「で、お前、船長のスキンシップにどう対応してんだ」
シャチが聞く。
「え?特になにも」
「「お前が原因か」」
「Σなんで」
リンは意味がわからずにいる。
「あんなにスキンシップ増えたのにお前ってやつは…」
シャチの言う通り、スキンシップがイーズー島を出てから増えたのだ。それも普通にクルー達の前で抱きしめたり頰にキスしたりそんなのは当たり前になりつつあった。
だがリンは今までと同じように適当に返事をしたりしていたのである。
「この鈍感」
「クマ好き」
「ちょ、異議あり」
バッと手を挙げる。
リンは姿勢を整えた。
「いいか、私はな、恋愛小説の主人公のような可愛くて小柄でちょっとドジっ子で健気でなんてそんなスペック持ってねぇんだよ‼︎だれしも可愛くて小柄だなんて思うなよ⁈女だっていろんな種類いんだよ‼︎私は『毎日ドキドキしちゃう♡』なキャラじゃねーんだ!!!」
「落ち着け」
ペンギンに諭されスッと静かにする。作者はなにかスカッとした。
「それに、ローの機嫌がスキンシップに対する私への不満だとしても、私悪くない」
「「??」」
「あんなに毎日やられてたらいい加減なれるだろ」
「「アッ(察)」」
ペンギンとシャチは瞬時に察した。
「でも、船長のことは好きなんだろ?」