ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第1章 突風
「お、ぺ…?」
ローは自分の胸にいるリンを撫でながら言った。
「オペオペの実だ。おれの前では全員手術台に乗せられた患者になる。例えば…ROOM!」
ブォーンとサークルが広がる。
その瞬間、肉を頬張ろうとしていたシャチの腕と首と胴体がバラバラになった。
「⁈」
「船長いきなりはひどいっす‼︎」
首だけになっても喋っているその姿にゾッとした。
クルー達も手馴れたようにパーツを集め、シャチはもと通りになった。
「なるほど…すごいねロー」
キラッキラと目を輝かせているそれに悪い気はせず、むしろ気分が良かったローはリンを脚と脚の間に座らせる。
「今度は私の話ね」
クルー達も、ローも静かになった。
「私の母、王女だった人は、私が小さい頃に死んでしまった」
遡ること約10年前。
母親が死んだ。原因は、謎の病。
リンが生まれて4歳になると同時に、病気を発病した。しかし、治療法もわからず、苦しむ母親に何もできなかった。
国中が悲しんだ。国民に慕われていた、立派な王女だったのだ。
でも、父親は王位を継ぎ国王になりすぐに妻をつくった。
それからというもの、新しい子が生まれるとリンは全く相手にされなくなった。城から抜け出しては、山奥の見晴らしのいい丘に行って、一人本を読む毎日だった。そしてある日、木になっている変な模様の実を食べ、能力者となってしまった。
その後国はおかしくなり、国民の反感が募りに募って、戦争が起きた。
その時、怒りの刃はリンにも向けられた。王族というだけで。まだ12歳だったリンにはとても辛い出来事だった。
リンは飛んで島を出た。行くあてなどなく、ただひたすら飛んで、飛んで、気を失った。
目覚めると、赤い髪の男に片腕だけで抱き抱えられていた。
『おい、大丈夫か⁈』
その男は片方腕がなかった。
「な、なぁ、リン、話の途中で悪りぃんだけどさ…もしかしてその赤い髪の男は…」
シャチが冷や汗とみられる汗を垂らしながら聞く。
「シャンクスっていうの」
船内が悲鳴と驚きによる声で響き渡った。