ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第1章 突風
部屋は船長室のとなりの物置が空いているということで、早速荷物を運び入れようとしたが、使っていないだけあって掃除が必要だった。
が
クルー達がほとんどやってくれた。
「荷物入れてもスカスカだな・・・」
「まあこんなもん・・・うわあ!!」
突然の声にやや遅れながらも驚いた。
「船長さんでしたか・・・びっくりさせないでくださ」
「名前」
「・・・?」
単語にはてなマークを浮かべる。
「ロー、でいい」
ああ、名前ってそういうことかと理解した。いきなり船長を呼び捨てというのも気が引けるが、どうせ拒否権はないとか言うんだろうと自己解決した。
「わかった。ロー、ね」
そう言うと満足そうな笑みを浮かべた。極悪人のような顔ではあるが、ちゃんと違う表情もあることがわかってきた。
「お前、ここに来るまでどうやって旅してきたんだ」
「海を漂って、適当に島を点々と・・・」
ローは呆れたような顔をした。
「・・・よく生きてたな」
「あはははは・・・」
確かにその通り。グランドラインには凶暴な海獣やら嵐やら、海が凄いのだ。
すると、ふっと笑って背を向ける。
「こっちに来い。案内してやる」
リンはそれに従った。
クルー達が船長直々に案内をしていることに驚いている事に気付かずに。