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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第7章 悪風


船は次なる島に到着する。
リンはすぐに本屋へ向かった。
恋愛について書かれている本を買いに。

「…リンすごい勢いで行ったねぇ」

ベポがぼんやりとした調子で言う。

「リンもリンで格闘してんだろ」

「格闘⁈敵がいるの?」

「…まぁそんなもんだ」

ペンギンはズッとコーヒーを飲む。
大体の予想がついていたため、引き止めることもせず温かく見守っていた。


一方で本を手に入れたリンは、街中のベンチに座って早速読み始めた。

「恋…わからん……症状は大体あってる…けど…ちょっと違くて…わからん…」


うーんうーんと唸っていると、隣におばあちゃんが座ってきた。

「お若い方、大丈夫ですか?お腹でも壊したの?」

「あっ、いえ、そういうわけではないので…大丈夫です」

「そう」

にっこりと笑ったおばあちゃんに、リンも笑顔で返す。

「そういえば、今朝海軍の船が港に来てたって知ってらっしゃる?」

「え…」

海軍という言葉に反応する。

「なんでも、今駐留している少将の息子だとかなんとか…噂じゃどうしようもない七光りって話よ」

「あ〜いますよね、そういうの…」

「変なことしてくれなきゃいいけど…」

その時、少し遠くからおじいさんが歩いてきた。

「あら、時間だわ。こんな老いぼれの話に付き合ってくれてありがとね」

「いえ。こちらこそありがとうございました」

心の中で、貴重な情報をくれて、と付け足した。

おばあちゃんが背を向けた瞬間、ベンチから飛び立った。
黄色い潜水艦に向けて。




「海軍か…面倒だな」

ローに報告すると、いかにも面倒くさそうな顔をした。

「…潰す?」

「いや、厄介ごとは迎えに行くもんじゃねぇ。お前は顔を見られるなよ」

ぽす、と帽子を深く被らされる。

「前が見えない」

「キャプテン、とりあえず食料調達と備品調達の許可を」

ペンギンが許可を促す。

「あぁ。できるなら海軍には関わりたくねぇ。まぁ来たら来たで潰すだけだが」


その自信満々な顔とセリフにクルー達は心をやられた。


「かっこいいぜキャプテン!!!!」
「さすがっす!!!!!!!」


そうして、動き始めるクルー達。

リンは足手纏いにならないようにと、おとなしくしていることにした。
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