ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第4章 木の芽風
お昼くらいに戻ってきた二人。ペンギンがおかえり、とこえをかけてくれた。
「ただいま」
「リン、帽子買ったのか」
「ローが選んで買ってくれたの。みんなと一緒」
あまり表に出さないが見てわかるくらいルンルンとしているリンをみてからローに視線を移してニヤリとする。
「…なんだ」
「いえ、なにも」
ペンギンは明らかに楽しそうな雰囲気を醸し出していた。
「みんなに自慢してこよ…」
パタパタとかけていくリン。
そんな嬉しそうな後ろ姿に視線を向けながら、ペンギンはいたずらに笑う。
「ずいぶん可愛がってるんですねぇ船長?」
「気まぐれだ」
そう言ってローはスタスタと部屋に行ってしまった。
「素直じゃないんだよなぁ」
眉を下げて困ったように笑いながら、ペンギンは青空を見上げた。
一方。
「みてみて帽子!」
「あー、リンかぁ、似合ってるぞー…オエッ」
殆どがこんな調子だった。
食堂に行くとペンギンが座って新聞を読んでいた。
ペンギンの隣にストンと座り、クルー達の反応を報告すると、苦笑しながら聞いていた。ペンギン曰く、はしゃぎすぎて飲み過ぎて二日酔いらしい。
「みんな酒臭かった」
「許してやってくれ」
ぽんぽんと背中を優しく叩かれる。
リンは上を向いた。
「ペンギンは、お兄さんみたいだね。しっかり者で」
「…こんな出来の悪い弟たちはいらねぇが、お前が妹なら喜んで兄になる」
にかっとわらったペンギン。目はあんまり見えないが。
「じゃあ兄さん、今日から医学について教えてください」
「は?」
ローにも話したように、いきさつを話す。するとペンギンは数秒固まった後、吹き出した。
「…お前はほんとに…」
「変な奴って自覚してるけど吹き出すって酷い」
「お前が悪い」
「なっ」
その時、グゥ〜とあの音が鳴る。
それはリンのものだった。