ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第3章 光風
一人の旅路から大人数の旅へと変わった島から遠く離れた、海の上。
そして戦闘中である。
「…戦闘はそんなにしねぇとか言ってたのに」
「うるせぇ。向こうが仕掛けてくんだよ」
「…」
この船に乗ってから知ったことだが、船長のローは億越えの賞金首らしい。
それを狙う輩がいるのは当然のことだが。
と、ふと視界に傷ついた仲間が入る。斬られたのか、腕から血を流している。
「…怪我させた」
突然呟いたアカリに怪訝な目をするロー。
「あ?」
バッと下の甲板に飛び降り、負傷したクルーと敵の間合いに降り立つ。
「な、なんだテメェ⁈」
「リン⁈」
「お前は許さん。その他も許さん。まとめて許さん。」
「はぁ⁈」
バッと剣を振りかざす大男を前に一歩も怯むことなくその場に立つ。
「…竜の咆哮」
その瞬間、リンの周りには竜巻が起こり、大男はその中に巻き込まれた。
「アイツ能力者か‼︎」
「さぁ全員飛ばされろ」
「え」
敵の人間だけフワッと宙に浮く。
と思ったらものすごい速さで船の方へと飛んで行った。
「烈風!」
ドゴォン‼︎という轟音と共に船が煙に覆われていった。
「リンすげぇな…」
他のクルー達は一瞬の出来事に驚愕していた。
そのリンはというと
「大丈夫⁈腕‼︎血がでてる…‼︎」
「これくらいだいじょ…横抱きはやめてくれ…‼︎」
怪我をしたクルーを横抱き、つまりお姫様抱っこにしてローの元に運んでいた。
「これくらいで心配すんな」
「だって‼︎血が‼︎」
「落ち着け…」
あれだけ豪快に敵襲を蹴散らした女がこんなかすり傷程度にわたわたとして、ローは変な奴だと小さく笑った。