ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第16章 幻風
賑やかな夜の街。人々はまだ眠ることなど微塵も考えていなさそうだ。
リンはこれだけ賑やかなのに全く人が入っていないシックな雰囲気のカフェに入った。
「いらっしゃい」
店主は男なのか女なのかわからない。というのも、髪は白く肩まで伸び、横で結んで前に垂らしている。目元は仮面で隠されており、鼻から下だけ見てもどちらかわからない。体つきも、特に胸が大きいわけでも、がっちりしているでもなく、よくわからない。そんな印象だった。
適当にカウンターに座り、カフェラテを注文する。
「私のこと、性別がよくわからない人だとお思いになられました?」
ふいに声をかけられ、顔を上げた。
「…はい。まあどっちでもいいです」
「ははっ、それはいい。しかし、ここまで来るのに随分と時間がかかりましたね。待ちくたびれました。」
「・・・・・は?」
店主を怪訝な目で見る。
「あ、私の名前はサ・クーシャと言います。気軽にサクと呼んでください」
「…サクさん、さっきの言葉の意味は何」
「そんな怖い目で見ないでください。はい、カフェラテ」
カラカラと笑いながらすっと丁寧に真っ白なカップに入ったカフェラテが差し出される。
「意味って、そのままですよ。いやー、私もここまで長くなるとは思わなくてね。いや、私がここまで長くしたのだけど・・・ま、それはおいておいて」
「Σ置いておくな!」
落ち着いてください、と店主にカフェラテを飲むように手で促されたので飲んでみると美味しかった。
「美味しい・・・」
「あ、あなた今『こんな胡散臭い奴がなんでこんな美味いカフェラテを』って思ったでしょ」
「なっ?!」
心をそのまま読まれたので驚かずにはいられない。
「能力者ではありませんよ。さて、これからのことについてですが・・・」
「いや待て待て待て。これからのことについてって何だ」
「これからのことですよ。ほら、あなたこれから恩人に会いに行くんでしょ?私が案内をしましょう」
「・・・・・・お前一体何者だ」
リンの視線は完全に敵対心を表していた。
「私は、幻。あるいは虚像。もしくは…」
「具体的に言え」
眼光鋭くリンが言うとサクは笑い出した。
「手厳しいなあ。もっと中二病感出したかったのに」
「」