ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第15章 暁風
「送ってくれて、ありがとう。…なんか近いうちにまた会いそうな気がする」
「なんだ、そりゃ」
「スモーカーさん、女の感は結構あたるものですよ。私も会いたいですしその感が当たることを願ってます」
たしぎの言葉にリンは微笑む。
「私もそう思う。
じゃあ、行くね。またどこかで。」
ふわりとリンの体が宙に浮く。
「またな」
スモーカーが小さい声でそう言ったのをリンは聞き逃さなかった。
「うん。またね」
背を向けて夜でも賑やかな島に向かう。
どんどん小さくなるリンの姿を、スモーカーとたしぎはしばらく見続けていた。
「よかったですね、スモーカーさん」
「何がだ」
「ちゃんとお別れの挨拶ができて」
「…ああ」
心なしかスモーカーの表情が柔らかい。たしぎはそんなことを思いながら、リンの向かったその方向を見つめた。