ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第11章 風が止む
「ベポ?」
「リン、キャプテンはね、リンが好きだから、大好きだから、ずっといて欲しくて…その…」
言葉が見つからないようで、ベポはうーんと、うーんと、と悩んでいた。そんなベポに笑顔になるリン。
「ありがとう、ベポ。…わかってる」
リンとベポは並んで座って海を眺める。
「キャプテン、リンのことすごく好きって皆知ってるから、皆も同じ気持ちだから、リンには戦って欲しくないんだ」
ベポが言う。リンは、うん、と言う。
「おれも、リンのこと大好きだよ!だからこれからもずっと一緒にいてほしい…おれ、リンとお昼寝するの好きだから!」
「はは、ベポはかわいいなぁ」
こてん、とベポによりかかる。
「わかってるよ、全部。だけど、やっぱりね、皆が傷ついていくのをただ見ているのは、私、無理みたい」
「でも…」
心配そうなベポに、にこりと笑いかける。
「ベポも知ってるでしょ?私、風になれるんだよ?海軍なんかに捕まらないよ!」
明るく言ってみせるが、依然ベポは心配そうな顔のままだった。
「それに、私みんなのこと大好きだから、ここにしか居たくないから、ね?心配しないで」
ようやく笑ったベポに、おまえは本当にかわいいなぁ〜と抱きついた。
部屋に戻ろうとすると、ドアの前にローがもたれかかっていた。
「入れ」
ピリピリとした緊張感の中、部屋に入った。
その時。
後ろから抱きつかれる。
「お前の怒った顔も、しっかり脳にインプットしたからな」
耳元で言われた一言に、ぽかんとする。
「…ロー?」
「なんだ」
「いやなんでもな…くない‼︎ここは普通怒ったり」
「最後は仲直りのキス…だろ?」
「そうそう…違う‼︎あのシリアスな空気どこいった‼︎ていうかローめちゃくちゃ怖かった…」
ぽろっと本音が漏れる。
それを聞き逃さなかったローは、くるっとリンの向きを変え正面から抱きしめた。
「怖がらせたか…悪かった」
「‼︎」
「あの時の言葉の続きだが、おれはお前がいなくなったら、どうすればいい……」
弱々しい声に、リンは自分がどこまで愛されているのかを分からされる。