第7章 好敵手(ライバル)
走り続けて約20分。ジョギングペースで行けばあたしでも十分に走る事が出来た。
クロ君1人だともっと早いんだろうけど、あたしに合わせてくれてるのが分かる。
『ありがと』
「あ?口動かしてる元気あるなら足を動かせよ、ちゃん」
クロ君はいつものニヤニヤ顔で頭をポンポンと撫でてくれる。
「『あ』」
そして研磨を発見した。何やらオレンジ色の髪をした男の子と話している。
あの人見知り研磨があたし達以外と会話してるなんて…
ま、研磨は相変わらずオドオドしてるんだけど。
あたし達は2人で溜息をつくと、研磨の元まで歩き出した。その瞬間、
「…強いよ思うよ」
ピリッ
研磨を覆う雰囲気が変わった。それを感じ取ったのか、オレンジ色の子も触発されているのが分かる。
まずい。
「「研磨!」」
クロ君も同じ事を思ったのか、同時に研磨を呼んでいた。おかげでオレンジ色の子の質問はかき消された。何って聞こうとしていただろうか。
「あっ、、クロ」
研磨はあたし達を見つけるとトテトテと近付いてくる。
「じゃあ…またね、翔陽」
…またね?
「勝手にフラフラすんな」
「ごめん」
歩き出す2人に続き、あたしも後を追いかけた。
もう一度、オレンジ色の子を振り返って。
(研磨、あの子誰?)
(翔陽)
(けど、お前が誰かと話すなんて珍しいな)
(うん、翔陽は話しやすかったから)
((研磨…))
(えっ、何で2人が泣いてるの)