第4章 非日常、再び
「それ、お前は本当にマネージャーに向いてたって事じゃねえ?」
『…は?』
「その俺に似ている先輩が、お前はマネージャーに向いてないとは言わなかったんだろ?それってつまり、お前は人を支える事が出来るって事だ」
『…そんなわけないです。あたしがそんな人間だとは…』
「自分の事は1番自分がわかってるかもしれねえ。けど、他人の方がよく分かってる事もあるぜ?」
の体が小さく揺れる。それを見逃さないように、更にキュッと強く抱きしめた。
『…ムカつきますね、ほんと。あたしの事分かったように言うその強気、そういうとこも少し似てます』
「どんだけその先輩のこと嫌いなんだよ」
『けど…』
「けど…?」
『そうかもしれませんね』
今まで頭しか触ってなかった手が、俺の背中に回る。いきなりのその行動に、心臓が跳ねた。
『…ありがとう、クロ君』
キュッと抱きしめられた力は弱々しくも、確かにから放たれた力だった。
おかげで心臓がドッキンドッキンと跳ね上がっている。
「…やべ。お前それ反則」
『?何が?』
こうやってどんどんこいつにはまっていくんだろうな。
『あー!むかつく!むかつくからお調子者にSNSの返事してやろっ!ばーか!だけでいいや』
「可哀想ー。つーか俺にも教えろ」
『は?お調子者のアドレスを?』
「ちげーよ!お前のだよ!」
(新しく、彼女の名前)
(!!!岩ちゃん!ちゃんから返事きた!)
(うっせーよクソ及川!で、なんだって?)
(…岩ちゃん!散々既読無視してやっと返ってきた返事が、ばーか!って何なのさ!)