第4章 非日常、再び
『あたしまだ、あんたに何も言ってない!』
「…は?」
『まず最初に!!!あたしの下着見たの、忘れてないからね!』
「!?ちょ、おまっ…」
ざわざわしだす周り。黒尾先輩は少し顔を赤くしている。ざまあみろ。
『高校生だってあれくらいの下着、履いてるんだから!』
「分かったっつーの!だから大声で言うな!!!」
『それに!!!!』
「まだあんのかよ!」
黒尾先輩はトサカ頭をガリガリと掻きながら、必死に顔を隠していた。
もう、止まれない。
『さっきはありがとう!』
「っ!?」
『正直、助かった。おかげでドーナツも買えた!それに朝も!おかげで課題終わったから!研磨に教えてもらわなくても、1人で出来たから!』
「…おー。良かったじゃねぇか」
『だから…だから…』
今更何を恥ずかしがっているんだろう。
きっとそれは、あたしが素直になれない頑固女だから。
『ありがとう!!!ボゲェ!!!!』
あたしはさっき買ったばかりの袋からチョコドーナツを取り出すと、思いっきり黒尾先輩に投げた。
そして走って教室へ逃げた。
もう、知らない。
(…何あの子。研磨って言ってたけど、お前知り合い?)
(…)
(?黒尾?)
(…何あれ、超可愛いじゃねぇか)
(黒尾!?)
(おかえりー。…あれ?チョコドーナツ買わなかったの?あれだけ大好きだから絶対食べるって言ってたのに)
(…買えなかったの)
(ふーん?)
(天邪鬼と天邪鬼)