第7章 好敵手(ライバル)
―弧爪―
「お前にしては少し厳しいんじゃねぇの」
翔陽の攻略方法を説明した後、がいなくなった音駒は自分でドリンクを取って休憩している。
「俺にはクロの方が珍しく甘いと思ったけど」
「あー…まあな」
「はあれくらいで怒らないよ」
クロだっての性格は分かってるはずだ。それでも怒らなかったのは、きっと一昨日の喧嘩が原因。
きちんと仲直りはしたけど、クロはの事になるといつもの自信を無くすみたい。
がいなくなったベンチは寂しいけど、今のままのじゃ辛いのは自身。
そんなの、俺が一番嫌だ。
コートに入ると、ローテ的に烏野のセッターが真正面に来た。
の後輩だと言う人。に抱き着いたのは面白くなかったけど、それ以上にをあんな顔にさせた事が気に入らない。
このセッターは試合に夢中なのか、がいない事に気付いていない。
の事はもちろん、とこの人との関係も気になるけど、俺が言いたい事は1つだけ。俺がやるべき事も1つだけ。
「渡さないよ」
影山「は?」
いくらキミがにとって大事な人でも、キミにとって大事な人でも、今は音駒のマネージャーで、クラスメイトで、俺の大事な人。
それに
「負けないから」
影山「…こっちの台詞だ」
が戻って来た時、を笑って迎えるためにも、この試合は勝たなきゃいけない。
だから俺は、全力で勝つだけだ。
(おっ、俺もいるからなー!)
(それじゃあチビちゃんの相手は俺がやろうか。珍しく研磨もやる気出してるみたいだし、俺もやる気出ちゃったし?)
(ひっ!!!)
(ボゲ日向ボゲェ!ビビってんじゃねーよ!)
(びびびビビッてねぇよ!)