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フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第4章 1つで5桁のメロン 後


「・・・とりあえずさ。」
牛尾がまどろむような、幾分気の抜けた甘い声で呟く。
「土井さんの部屋に行きたいな。」
「まだそれ言うのかよ!?」
しつこいまでの我侭にあたしもさすがに驚く。
「さっき了承してくれたよね?」
「まぁ、うん、したけどさ。まだ言うのかーって。」
「そりゃそうさ。土井さんの事を知るためにもね。」
そう言われてしまっては文句の言いようも無い。
確かにあたしも牛尾の家に上がらせていただいてるわけだし、お返ししなきゃいけないのかなー?
「では全力で見栄を張らせていただきます。大掃除させていただきます。」
服をたたんで、床を拭いて、水回りを磨いて、ゴミも捨てて。
押し入れの中まで全て整理整頓。隙なんて1つも見せないんだからね。
「えー?それじゃあ面白く無いじゃないか。」
面白さって。貴様はあたしの家に面白さを求めていると言うのか。
「今まで見栄張って来た奴に言われたく無いね。」
牛尾も文句の言いようが無くなってしまったのか、残念そうに目を伏せた。
そのままこっくり、口が力なく半開きになる。

「・・・眠い?」
「あぁ、すまない。安心したのか急に眠気が来ちゃったよ。」
ほにゃほにゃと言葉を紡ぐ牛尾が可愛くて、あたしはその絹糸のような髪を撫で付ける。
「寝ようか。おやすみなさい。」
「ありがとう。おやすみ。」
不意に牛尾の顔が近付いて、あたしに触れるだけのキスをした。
びっくりして思わず声が漏れる。牛尾が嬉しそうに笑った。
「土井さんの家に招かれる日を楽しみにしてるよ。」
最後の念押しをして、牛尾はあっという間に眠りに落ちてしまった。
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