第4章 1つで5桁のメロン 後
時間が止まった。
感情も思考回路も、呼吸も何もかもが止まった。
動いているのは、あたしを強く抱きしめている牛尾の体だけ。
・・・震えていた。
たい、せつ?
「傷付いたり・・・しないのに。」
あたしが望んでしていた事なのに。
それどころか、牛尾を傷付けようとしていた事なのに。
「大切にしたいだなんて。」
乾いた笑いが漏れた。
あたしを?こんなクズを?大切にしたい?
信じられるわけ無い、って言いたいのに。
牛尾の体の震えが、声が、言っている。
本当に、心の底から大切なんだと。
「牛尾は・・・何がしたいの?」
抱いてみようとしたり、大切にしようとしてみたり。
「何を考えてるの?」
付き合いたいと言ってみたり、そうじゃないと言ってみたり。
「牛尾はあたしの事、どう思ってるの?」
ねえ、教えてよ。