第4章 1つで5桁のメロン 後
「・・・ん。」
牛尾が声を漏らす。
「あれ?」
何故だか困惑している。誤摩化すような笑いが弱々しい。
理由はすぐに分かった。当たるものが柔らかくなっている。
「ごめん。緊張してるみたいだ。」
はははっと控えめに笑って、牛尾はあたしを笑顔のまま見つめる。
「・・・ごめんね。」
謝られて、あたしはとてつもなくいたたまれない気持ちになった。
なんで謝るんだろう。あたしが悪いのに。
牛尾の人生を搾取してやろうと、欲に目が眩んでやった事なのに。
「いいんだよ?」
牛尾を抱き寄せる。また牛尾があたしの上に覆い被さる形になった。
「気にしないで。」
それでも重く感じないのは牛尾が気を遣ってくれてるからだろう。あたしはさらにいたたまれなくなる。
「そりゃあ牛尾だって、あたしみたいなのは嫌だよね。」
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
あたしみたいな腐った廃棄物が、生意気にもあなたまで腐らせようとしただなんて。
「・・・ごめんなさい。」
ふわっと、暖かい人肌で包み込まれた。
「そんな事言わないでくれ。」
それまであんなに楽しそうな様子だったのに、なんで今はこんなに、悲しそうな声。
「・・・違うんだ。」