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フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第4章 1つで5桁のメロン 後


ピーッ。
ボタンを押すと、ボイスレコーダーが録音完了の音を発した。
「インタビューにご協力ありがとうございました。」
「こちらこそ。いろいろ考えさせられて楽しかったよ。」
インタビューは予定より早く終わった。まだ始めて10分ちょっとしか経っていない。
「淀みなく答えてくれて助かったよ。おかげでスムーズに終わった。」
「土井さんの研究だと思うと真剣になっちゃってね。力になれたならよかった。」
・・・コイツはまた。
思わせぶりな事は言うなと言いたい所だけれど、実際助けになったんだから文句を言うのも筋違いだと黙った。
「それじゃあ。」
牛尾は座り直すと、机の端に寄せていたワイングラスを中央に引き戻した。
「研究も一段落したようだし、パーッと飲もうか。」
晴れ晴れした顔で笑うと、牛尾は自分の分のワインも注いでグラスを掲げた。

・・・これを飲んだらまた泊まる事になるんだろうな。あたしの顔から一瞬笑顔が消える。
泊まっちゃダメなんだ。もうこれ以上牛尾と深く関わっちゃ、迷惑をかけちゃダメなんだ。

「酔っ払って帰れなくなったらどうするのよー。」
「ちょっとだけなら大丈夫だって。」
牛尾らしからぬ、まるで合コンのチャラい男みたいな発言に少しばかり驚く。
確かに1杯ぐらいじゃ酔わないけど、牛尾と飲むんでしょ?1杯どころじゃすまないのは明白じゃないか。

でもあたしは頭のどこかで、ずる賢く汚い男のような発言をした牛尾に親近感や安心感を感じていた。

あたしはグラスを受け取って軽く持ち上げた。
「インタビューで乾いた喉を潤しますか。」
「いいね。そうしよう。」
くすくす笑う牛尾と一緒に、あたしはルビー色のワインが入ったグラスを高く持ち上げた。
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