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フルーツポンチ【Mr.FULLSWING!!】

第2章 一山いくらの林檎 後


しばらくゆるゆるとあたしの頭を撫でていた牛尾の手が離れた。なんとなく頭が寂しい気分になる。
・・・ん?頭を撫でた?なんで?
「うーん。」
牛尾の唸り声であたしの視線が牛尾を向く。見ると随分体勢を崩していて、いつも完璧な牛尾の珍しい姿にあたしの疑問も吹っ飛んでしまった。

「リクエストと言われても、やっぱり思いつかないんだよね。」
ようやく出て来た解答は期待外れもいいところ。面白くないこと言うなぁ。
「本当に物欲が無いのね。」
「この部屋を見れば一目瞭然だろう?」
・・・確かにこれだけ片付いているのは整理整頓をしているだけじゃなく、そもそも散らかすだけの物が無いからなのかもしれない。
「1つだけ思い付いたんだけど。」
「なーに?」
牛尾が名案と言わんばかりに人差し指を上げた。
「土井さんの手料理とか。」
「却下。」
「即答かい?手厳しいなぁ。」
牛尾は冗談半分で言ったのかもしれないけど、あたしには一大事な発言だ。
だってきっと三ツ星レストランが当たり前のような奴に料理を振る舞うなんて。馬鹿馬鹿しいわ。
それに出来立てを食べさせようと思ったらあたしの家でってことになるんでしょう?無理無理。こんな綺麗な部屋を見せつけられたらあんな汚い部屋になんて上げられないわよ。
誕生日ケーキなんてのも無理よ?あたし料理は目分量派なの。計りなんて1つも持ってないわ。
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