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戦利品は己の手で:続

第2章 戦利品を探して



俺が新たな道を歩き始めたのは、戦もないのどかな時代だった。
生まれつき…ではないが、俺が小学生になったときに、前世でどんな行いをしていたのかをすべて思い出した。
再び『長曾我部元親』を名乗り、左目を隠し、女々しいと笑われる人生を歩く。
慣れた道だとは思ってたんだが、またやっちまうとなるとどうも腹立たしいのがあるもんだ。




「…っはぁ、今日から、ここで…か」

俺は大学卒業後、面接試験を終えて無事に自動車大手に勤めることになった。
正直機械いじりは好きだし、前世でも俺はこうやって機械に立ち向かって何かを作るってのは得意だったみてぇだし、そうならそれを生かしたいと思った。

「慣れねぇ、いつまでたっても初出勤ってのはよォ…」

高校生の時だってバイトはいくつもしてきた。居酒屋、コンビニ、裏方、祭りの屋台、だがどれも初出勤となると緊張して、うまくしゃべれなくなる。これはきっと俺だけじゃないはずだ。
前世では野郎共に苦労かけちまった分、今度はその苦労を俺は感じてぇ。野郎共に支えられていた分、俺は楽をして生きてきたようなもんだったからな…。
そして、いつか、を見つけて今度こそ幸せになる。絶対だ。




「っだぁあああああ、自己紹介ってのは緊張すんなァー」

『おいおい、その調子で大丈夫なのか?』

「るせェな若社長さんよォ」

電話の相手は家康。若くして企業を立ち上げ、俺より少し年齢は上だが立派な社長として社員の手本になるようなやつになっているらしい。
家康には過去の記憶がないようで、俺がそれとなく話を振っても全く反応がなかった。

『そういえば、新入社員は元親だけなのか?』

「あぁ、他にもいるみてぇだが違う部署だったりすンだ」

『仲良くなれるといいな!』

「あぁ、取りあえず溶け込まねぇとな…」

家康は自分も忙しいくせしてよく話し相手になってくれる。前世でも現世でも心優しい奴だってことは変わらないらしいな。
…俺には最後まで信じる事なんざできなかったがな




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