第6章 戦利品宅に訪問
「邪魔するぜー…って、うわ、片付いてんな」
「ちゃ、ちゃんと掃除ぐらいするわよ」
5階だからか窓からは夕日が見えた。窓は開けっぱなしなのかカーテンが室内に滑り込み、ゆらゆらと揺れている。
「その辺に置いておいて?今エアコンつけるわ」
「あ?俺ァ帰るぜ?」
「何を言っているの?手伝ってくれた人に何も出さないで帰らせるわけないじゃない」
もう既にコップに麦茶を注いで俺の目の前に置いた。カラン、と氷が揺れてその音が俺の耳に届くとようやくハッと意識を取り戻した。そういえば俺はに渡してねぇモンがあったんだった。
「そ、そうだ。アンタに渡したいものがあるんだ」
「あら偶然ね、私もなの」
は紙袋を、俺はダンボール箱を手に取って交換した。
「なにこれ」
「それはこっちのセリフだぜ」
が俺に渡してきたのは洋服だった。随分と量があると思ったら一式が入っていて俺にはもったいないほどの良い奴だってのは疎い俺でも理解はできた。
一方俺がに渡したものは今流行りのジューサーだ。一人暮らしだと料理も面倒になって野菜が不足しがちなんだと何度も親に言われてきて俺はこれをはじめにプレゼントされた。何度これに助けられたかわかんねぇ。
「こんな、こんな高そうなものもらえないわっ」
「こっちだって、こりゃ、結構しただろ…」
有名ブランドの名前もわからねぇが生地がいい。触り心地がいい。見るからにして高そうなもんだ。
「い、一日付き合ってくれたお礼よ」
は俺が買えそうとした袋を突き返してきやがった。はジューサーが気に入ったのか早速ダンボール箱を開けて中身を取り出してみた。
よく通販とかでやっているあの簡単にジュースができるってやつだからソワソワしてるんだな。
「ま、使ってやってくれや」
俺は麦茶を飲んだ。