第5章 戦利品とショッピング
「で、次は炊飯器ね」
「種類が沢山あるな…」
いまどきの炊飯器ってのは種類が豊富だ。俺は炊飯器が好きじゃねぇ。
なんてったって、おこげが出ないだろ?あぁ、出る奴もあるのかもしれないが…俺は鍋で炊いた飯が一番だと思ってる。おこげが好きな奴なら分かってくれるはずだ!
「俺は鍋で炊いてるんだが…面倒だよなァ?」
「鍋?いちいちそんな事をして、面倒ではないの?」
「面倒っちゃ面倒だが、その方が旨いし」
そう言うとはそうねぇ…と思案して、暫くしてから炊飯器コーナーから立ち去ろうとした。
「いいのか?」
「…土鍋の方がおいしいのでしょう?土鍋、買いに行くわ」
そういうとは一階下のフロアへエスカレーターを使って下りて行ってしまった。俺もその後を追いかけて乗る。
俺の意見を聞いてくれたのがすっげぇうれしかった。前世ではあんなに反抗されていて、俺の目をちっとも見なかったのに、今じゃ俺の言葉をしっかり聞いて、それでいて自らの意見もしっかりと言ってくれる。共に生きてるってこういう事を言うんだろうな。
「…何をぼーっとしてるのよ、どの土鍋がいいの?」
「あっあぁ、すまねェ、そうだな…俺が使ってる種類は旨く炊けるぜ」
「じゃあそのワンサイズ下をいただこうかしらね」
がそのままレジへ土鍋を持って行ってしまった。ここは男手として役目を果たすべきだったんだろうが、どうも人を頼るのが苦手らしい。らしいっちゃそうなのだが、もっと弱みを見せてくれてもいいと思うんだ。
だから俺は、今日に家電を一つプレゼントしてやろうと思う。俺も前から欲しかった奴だ。
一人暮らしなら不足しがちな野菜を簡単に摂れるアレだ。