第4章 求食
私が泣いている間、アヤト君はずっと無言で抱き締めてくれていた
その優しさが嬉しいのと同時に、やっぱりこの喰種(ヒト)を傷付けたくないと思ってしまう
「やっぱり駄目だよ、アヤト君…。アヤト君の言う通りね、私“飢え”てきてるの…。このままじゃ……ッ」
「人間が喰えねぇなら、喰種を喰えば良いじゃねぇか…」
「だから、もうココにはいられない……」
「……俺を喰え、友香」
「ッ……!?」
思いも寄らない発言に、私は目を見開いてアヤト君を見つめる
(何を言ってるの……?)
「そんなことできる訳ないよ…!アヤト君を傷付けたくないって言ったでしょ……ッ!!」
「お前の飢えを凌ぐ為には、こうするしかねぇだろーが!!」
「ッ……、どうしてアヤト君はそこまで私にしてくれるの…?」
俯かせていた顔を上げアヤト君を見ると、いつもの顰めっ面ではない苦しそうな顔をしていた
「んなの、俺が知りてぇよ……」