第4章 求食
それなのに、コイツは何度俺が喰わせても吐き出しやがる
(喰えよっ!喰えよっ!喰えよっ!!)
最初は単純に食べるのが“嫌だから”拒否して吐いてんのかと思ってた
だが、コイツの瞳を見てあることに気付く
(人間の肉を喰うときの、喰種特有の瞳じゃねぇ…)
人間の肉を喰うとき、大概の奴等は赫眼になる
赫眼にならなくても、食欲にまみれた飢えた化け物みてぇな瞳をしてんだよ普通は
だけどコイツの瞳は全く食欲にまみれてなくて、むしろその逆を思わせる、そんな瞳をしていた
それに、いくら喰べるのが“嫌だから”って、飢えてんのに肉を口に突っ込まれて、そう何度も吐けるはずがねぇ
普通は食欲に負けて喰っちまうはずだ
(まさか…、コイツ本当に人間の肉が喰えねーのか…?)