第4章 求食
フラフラしながら部屋に戻ると、怒りのオーラに包まれたアヤト君にギロリと睨まれる
「テメェ、何吐いてんだ。あ?」
だんだんと近付いてくるアヤト君に後退りしながらも、すぐに距離をつめられてしまった
その手には先程の肉塊を持っている
「ごめんなさい…っ。どうしても飲み込めなくて…」
「次は吐くんじゃねーぞ、オラ!!」
そう言って、アヤト君はまた私の口の中に肉塊を押し込む
でも、やっぱり嘔吐感を催し飲み込むことができず、トイレへ走った
それが何度か続いた
「うっ、……おぇぇええ」
この嘔吐感は“嫌だから”っていう理由だけじゃないような気がする
まるで、体が“生理的に無理”と訴えてるようだった
「!!」
(私、まさか人肉を食べられないんじゃ……)
無意識のうちの共喰いも、もしかしたら私が人肉を喰べられないからしてたのかもしれない
(私は“人間の肉”じゃなくて、“喰種の肉”しか食べられないの……!?)
地獄の日々の頃とは違う絶望感が私を襲う
しばらくトイレで放心状態でいると、様子を見に来たアヤト君の気配を背後に感じた