第3章 猶予
「良いの…?」
「俺がいるときはいっつもこうしてんだろーが」
「でも…」
「さっさとこねーと殺すぞ。あ?」
そう凄むと、やっと友香は俺の隣に寝転んだ
その瞬間、旨そうな甘い匂いが鼻を擽る
「アヤト君、ごめんね…?」
「もう黙れ。別に怒ってねぇよ…。ただ…」
そこまで言って黙る俺に、友香は「?」の顔を向ける
「やっぱ、何でもねぇ……」
「そっか…」
友香は優しく微笑んで、それ以上は何も聞いてこなかった
そして、気づけばスースーと規則正しい寝息を立て眠りについている
「………っ」
その寝顔を見ていると、さっきと同じ心地良さを感じて…
(ただ…、このままお前と居るのも悪くねぇって思い始めてる自分自身に、反吐が出そうなだけだ…)
俺は「まだ良いだろ…」と、アオギリへの報告をどんどん後回しにしていた