第2章 暗闇
そして、今日も限界まで飢えに耐えたせいで飢餓状態に陥り、“誰か”に体を乗っ取られ、気付けば襲ってきた喰種を殺していた
グチャ グチャ__
死体を貪り喰べる音が真っ暗な路地裏に不気味に響く
(不味い…不味い…不味い……)
グチャ グチャ__
“誰か”は目の前のソレに手を伸ばして引きちぎり、肉の塊を自分の口へ押し込んだ
ゴクン___
少し噛み砕いた肉塊が喉を通って胃に流れていく…
(やっと“自分”に感覚が戻った…。これでしばらくもつかな…)
ギリギリ腹が満たされる量で、私は“食事”を辞めた
いつもなら、この後また限界まで飢えを我慢し、飢餓状態に陥って“誰か”に体を乗っ取られるまで、襲ってくる喰種から逃げ惑う
これからもそんな地獄のような日々が続くと思っていた
この日いつもと違ったのは、そこへアヤト君が現れたこと…
真っ黒だった世界で、初めて色を目にした気がした…