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黒執事 Blood and a doll

第11章 終焉



「どうやらこれは、本当に一掃するしかないらしいな!!」


 シエルも再び銃をしっかりと構えた。


「クライヴさん、行きますよ」

「そうですね、セバスチャンさん」


 続く悪夢に讃美歌を。明けない夜など在りはしない。蒼い海は、血に染まり溶けて消えていく。全てが終わりを告げた後に残ったのは、四人の魂と魂なき死体だけ。

 終わりも絶望も、一夜という一瞬の淡い光の中へ失われた。


 太陽が昇る、アリス達を照らす眩しい程の太陽が。月は沈んだ、夜は消えた、訪れた朝に誰もが目を凝らした。見上げた空は、シエルと同じ瞳を携えて。


「ねぇ、シエル」

「……なんだ」

「失ったものは、二度と戻ってこない。もし、戻ってきたとしても……それは同じとは言えない。そう、言ったわね」

「ああ、そうだ。同じものなど、この世に存在しない。もしも同じだと思うのなら、目で見て耳で聞き手で触れ確かめてみるといい。それは所詮、似せて作った紛い物だと」

「それでもいいと……誰かが言ったら、どうする?」


 シエルは困ったように微笑んで、アリスの小さな手を握り締めた。伝わる温もりに、彼女は目を閉じる。

 そうだ、生きている。彼女も彼も、生きているのだ。


「少なくとも、君は違うだろう?」

「……そうね」


 生者は生者と共にあれ。二人の小さき主人を見つめ、二人の悪魔は何を思うのか?

 静寂を切り裂くように、セバスチャンが声をかけた。

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