第10章 花束
「……!! クライヴ!!!」
「御意」
彼女の叫び声と共に、銃声とクライヴが奴らへと飛び込んだ。シエルの命でセバスチャンもそれに加わる。更なる奥の方で、人の声がする。
「まずい、クライヴ! ここで仕留めるのよっ」
「イエス・マイロード」
長い夜の、幕開けだった。
一通り一掃が終えた頃、セバスチャンがリアンの止血を行いながら、シエルは銃口を彼に向けようやく確信へと踏み込む。
「リアン、これはどういうことだ? 奴らは何だ?」
「くっ……こんなはずじゃ、なかったんだ!!」
「そんなことはどうでもいい!! 奴らはどうやって動いているんだ!?」
「っ……。特殊な電磁波を身体の至るところに流しているんだ……だが、勿論奴らを止める機械はある! 私の部屋に、置いてある……」
「案内してもらおうか?」
「……わかったよ」
奥から従業員らしき人々と合流し、大所帯でリアンの機械を求め出口を探すことに。
だが、突然の衝撃音と船が大きく傾いたことにより、事態は更なる急展開を迎える。
「何が起きた!?」
「っ!! 水が! 水が入ってきたぞ!!!」
「浸水しているのかっ!!?」
従業員たちが次々に混乱し始める中、一つの銃声音が場内を沈める。注目の的は、アリス。
「落ち着いて。素早く出口を見つけましょう、この先に抜け道があるのね?」
「は、はい……我々はいつもそこを使っています。急ぎましょう! こちらですっ!!」
従業員に案内され、一斉に皆走り始める。しかし、水の勢いも思った程に早い。既に、シエルの膝辺りに到達しようとしていた。