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テイルズ短編集

第4章 【X2】なぁ、たまには クルスニク兄弟


いつものようにキッチンに向かいながら料理をしている。
キッチンダイニングには美味しそうな香りが漂っている。
珍しく早めに帰ってきた兄さんはルルと遊んでいる。
「…ルドガー」
不意に兄さんが呼んだ。
「............?」
ちょうど肉を炒めていて声が遮られた。
程よく火が通った肉を皿に盛り付け他の料理と一緒にテーブルに運ぶ。
「ごめん、兄さん。炒めてて良く聞こえなかった。なんて言ったんだ?」
珍しくきょとんとしている兄を手を止めて見る。
「....あぁ」
兄さんは苦笑し続ける。
「嫌で無視されたのかと思ったよ」
兄さんは安心したような表情で席を立ち、食器を運ぶためにキッチンへ向かう。
「俺が嫌がるようなことを言ったのか?」
再び手を動かしながら兄さんの背中に問う。
「嫌かは分からないが....」
言葉を濁しながら食器を持ちテーブルへ戻る兄さんに目線で先を促す。
「....俺を名前で呼んでみてくれないか?」
今度は俺がきょとんとする番だった。
「名前....?」
「あぁそうだ、ユリウスって呼んで欲しい。」
じっと見つめる目から本気だということはわかった。
「....」
まぁ、名前を呼ぶくらいなら、と口を開くが中々言葉が紡がれない。
「....そう言えば俺、兄さんのこと名前で呼んだことなかったな」
そう呟きながら席につく。
「呼びづらいか?」
兄さんも席につく。
「無理はしなくていい。変なことを言って悪かった。さぁ、食べよう」
兄さんにとっては名前で呼ばれるよりも目の前のトマト料理に関心が向いているようで既にナイフとフォークを手にしている。
「....わかった。食べよう」
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