第5章 【V】貴女は私のモノ アレクセイ
少しの間、俯いていたが手を取り立ち上がった。
とても小さく、誤って強く握れば潰れてしまいそうな手。
物言いから少し不機嫌なようだが構わずそんなことを思う自分に小さく苦笑した。
「怪我はないか」
衣類は少し汚れているようだが...。
「怪我はありません。お助け頂きありがとうございます。今後このようなことが無いよう、対処願います。」
さっさと立ち去るアイリオンを見送る。
素直でないな...。
1人残され、この、アイリオンに対する気持ちは何なのだろうと考えるも、答えは見つからず寝室に向かった。
暗い廊下を進むと自室のドアの前に何か置いてあるのを発見した。
小さな紙袋。
窓から入り込む月明かりで文字が読めた。
「ありがとう アイリオン」
紙袋の中にはいくつか飴玉が入っていた。
...本当に素直ではないな
苦笑しつつも大事に持ち、自室に入る。
私はアイリオンに興味を持ってしまったんだな。
アイリオンと話がしたい。
アイリオンに触れたい。
アイリオンの色々な表情を見たい。
そんな淡くも甘い想いを感じながら夜は更けていった。