第101章 練習の成果
「ちょっと冷静になってきたでしょ?」
「……そうですね。」
一旦目を瞑って深呼吸をし、
俺を見下ろしている凛さんに視線を留める。
「凛さん、酔ってないんですか?」
「いや、今も結構ふわふわしてる。」
「なのにこんなに抵抗するって、
そんなに嫌でしたか?」
「嫌と言うか……エルドは嫌じゃないけど、
簡単に流されるのは嫌だなぁと思った。」
「……こんなことされたのに、
俺のこと、嫌じゃないんですか?」
「さっきから質問攻めだね。
嫌じゃないってば。」
馬乗り状態は解放され、
自分の隣に座り直した凛さんは、
俺に手を差し出した。
「こうなったの、私のせいなんだろうからね。
本来のエルドは
こんな強引な事しそうにないし。」
「……俺を買いかぶり過ぎですよ。」
凛さんの手を握り、ゆっくり起き上がった。