第98章 期待
何とも言えない、
恥ずかしそうな表情を浮かべ、
視線を合わせようとしない凛の顎元を
引き寄せる。
そして無理矢理視線を重ねた。
「これでが凛こっちになびくなら
いくらでも言うし、
なびかなくても言うから。
と言うか、俺が言いたいんだ。」
「……嬉しいけど……すごい嬉しいんだけど……
でも、毎回赤くなるこっちの身にも……」
「凛も俺を赤面させるようなことばかり
してくるんだから、
そこはお互い様だろう?」
どもり始めた凛の
火照った頬に指を沿わせる。
こんな顔を見せられて、
期待しないでいられる訳がない。
まさか恋愛で団長や兵長に
張り合う日が来るなんて
夢にも思わなかった……
それでも、こうして凛の側に居られるなら、
ライバルとして対抗する以外、考えられない。
これみよがしに唇を寄せると、
反射的に目を瞑った凛の唇に
そっとキスを落とした。