第96章 整理の後の整理
「……凛は俺を振り回すのが好きだね。」
「ごめん……」
冗談、というつもりもなかったけど、
確かに今の私の立場で、
そんなセリフを吐くのは宜しくないだろう。
「本当にそうなったらいいのに。」
「……どれの話?」
「もう自分でも分からない。色々、だよ。」
小さく笑って見せるモブリットに、
軽く唇を重ねる。
一瞬驚いた表情が視界に入るが、
すぐに優しい表情に切り替わると、
柔らかい唇の感触は、
何度も自分の頬や唇を愛ではじめた。
最近、モブリットに
こんなにキスをしたくなるのは
ピクシス司令に
言われた通りだからなんだろうか。
確かに、モブリットに
気持ちを打ち明けられてからも、
エルヴィンかリヴァイの
どちらかを選ぶべきだとは思っていた。
それに、エルヴィンに対しての感情が
恋じゃないかと察した時もあるし、
リヴァイでそう思った時だってある。
……今一番、誰に気持ちが傾いているのか。
よくハンジにもそれを聞かれて、
誤魔化し続けているけど、
実際誤魔化す以前に
自分でもよく分かっていなかった。
それぞれに、
それぞれのいいところがあって、
それは自分にとって魅力的でしかなくて、
魅かれる要素でしかなくて。
そんな人たちから一人選べ、
と言われても、そう簡単に選べるはずがない。
勿論ちゃんと選ぶつもりはあるし、
そんな贅沢な選択を託されていることを
ありがたいとも思う。
それ以上に、
ここに来てから既に数か月経っているのに、
それでもまだうだうだと
悩み続けている事実も、
申し訳なさすぎると思ってる……