第92章 ●恋しい唇
腰を振ることも忘れて、
ひたすらにキスを繰り返す。
穏やかなキスも、濃厚なキスも、
どのキスが唇を犯しても、
感情が昂ることは避けられなかった。
「…はぁっ…、んっ、」
互いの吐息と嬌声が、口の中を往来する。
酸欠になりそうなくらい、呼吸が苦しい。
それでもこの快感を離したくなくて、
息継ぎをする間もなく唇を求める。
「…はぁっ、凛、待って、」
「んっ…、やだ、もっと」
恍惚さで瞳が虚ろなモブリットを垣間見ても尚、
無理矢理にでもキスを求めて、唇を奪った。
……が、自分の中で、
陰茎が大きく跳ねる感覚で、
ハッと我に返り、唇を離す。
「……っ…、ごめん、」
「キスで、イッた…?」
「……そう、だね……」
相当恥ずかしいのだろう。
少し震えた声と、
真っ赤になった耳元がそれを表している。
すぐにモブリットに強引に引き寄せられ、
汗ばんだ胸元に顔を埋めた。