第89章 互いの暴露は突然に
「……噂になってるの……知ってる?」
凛の体温を胸元で味わっている最中、
突然くぐもった声が聞こえ、
視線を凛に向ける。
「……何の噂の話?」
「モブリットと私の。」
「ああ、俺たちが恋人同士だろうって話か。」
「やっぱり知ってるんだ……」
「もう結構広まってるみたいだからね。」
その話は、いわずもがなの
ハンジさんから聞いた。
……というか、ハンジさんくらいしか、
この手の自分が関連する噂を
直接話してくる人なんていない。
「ごめん……廊下で抱き合ってるのを
目撃されてから、みたいだから……」
「いいよ。俺からしたら、
特に何か問題がある訳でもないし。
凛の方こそ、好きな相手でもないのに
噂になってるけど大丈夫?」
「え、好きだけどね!」
「……いや、その好きは、
俺の好きとは意味が違うからね。」
何故か自信満々に声を荒げる凛の発言に、
思わず突っ込むが、
やっぱり笑い声が漏れてしまう。