第77章 ●償い
軽く触れるだけの
優しいキスを繰り返されるうちに、
少しずつ記憶が呼び戻されていくようだった。
……そうだった。
御食も、こうして毎回丁寧なキスから初めて、
それでも段々情動が抑えきれなくなって……
そう思っていた時、
流れるようにベッドへ押し倒され、
首筋に柔らかい感触と、暖かい吐息を感じた。
「……お前の匂いはクセになるな……」
「それ、御食にも言われたことある……」
「……だろうな。」
もうミケは何の不可解さも感じなくなったのか、
私の呟きに頬を緩めるだけで、
すぐにまた首筋にキスを落とす。
快感を覚える場所を
慎重に探られているようにも思えるが、
ミケの口元は、
もう何かを知っていたかのように鎖骨に向かい、
舌先がゆっくり骨に沿って滑っていく。