第76章 過去と今の差し替え
「ちょっ、ちょっとま、」
焦る声をも塞き止めるように、
再び唇を奪い、腰を引き寄せる。
自分からこんなにも強引に動くことは
初めてだった。
抱き寄せた凛の細い腰すら魅惑的に思え、
また抑えられそうにない衝動を巻き起こす。
始めは俺の胸を
必死で押し離そうとしていた凛の手も、
執拗に舌を絡めているうちに力が抜けていた。
抵抗が和らいだことで、繋いでいた舌を離し、
触れるだけのキスを繰り返す。
呼吸が荒々しい。
それは凛もだが、
自分の息もキスしかしていないのに
珍しく何故かかなり上がっていた。
「はぁっ……、っ、」
「……大丈夫か?」
「いや……、
それ以前に、いうこと、あるよね?」
整わない呼吸の中、視線を送られ、
すぐにその意図に気付く。
「……すまない。」
咄嗟に出た謝罪の返しは、
頬に奔った痛さだった。