第71章 繋がる日
「じゃあ私、食堂に借りに行ってくるよ。
ちょっと待ってて。」
ソファーから立ち上がるが、
エルヴィンは全く手を離す兆しが見られない。
「すぐ帰って来るから。」
「嫌だ。」
完全に意図的に被せて発言されて、
思わず吹き出す。
「エルヴィン、ほんと今日どうしたの?
何かあった?」
「……ない。
だが、君を離したくなくて仕方がないんだ。」
この顔は嘘を吐いている顔だな……
それでも、離れたくないのは本音だろう。
少し目を伏せているエルヴィンの髪を
そっと撫でる。
整えられている柔らかい金髪は、
私の指先を簡単に受け入れ、
そっと触れるだけですぐに乱れていく。
何でこんなに頑なに手を離さないのかは
分からないけど、
こんな悩ましいような表情を
浮かべるエルヴィンを一人にする気も起きず、
再びソファーに座った。