第71章 繋がる日
顎元から離された手は、
そのまま優しく私の髪を撫でる。
「そう。それが出来ない奴が多いのが
憲兵団だからな。」
「成績上位者の集まりなのに?」
「だからだろう。
それをゴールだと思っているせいで、
どうしても向上心に欠ける者が多い。」
珍しく辛辣な言い回しをするエルヴィンに
同意するかのように、
モブリットがこくこく頷いている姿が
視界に入った。
「まぁ、相当言い上げて帰って来たから、
もう君を欲しがることはないだろう。」
「エルヴィン……そんなことして大丈夫?」
「君を奪おうとしてくる奴らに
容赦なんかしていられないよ。
凛。君は俺だけのものだ。」
真摯な目に見つめられ、
一瞬で顔に熱が集中した。
身体全体が熱く、
熱を発散させようと深呼吸をする。
「すまない。言い方が願望に溢れていた。
君は、この兵団にこそ必要な人なんだ。」
少し頬を緩ませたエルヴィンは
発言を訂正してくるが、
今さら言い直されたところで、
この顔の熱はそう簡単には引かないだろう。