第69章 明かされていくエニグマ
「……モブリット、だったかな?」
「はい。」
「君の思いはよく伝わった。
調査兵団がこれから調査に出る時は、
ワシも凛を気に掛けるようにするから、
安心しなさい。」
「……ありがとうございます。」
深々頭を下げるモブリットの肩を
時の流れを感じさせるような
深い皺の入った手が、優しく叩く。
「ピクシス司令。
またお話ししましょう。
私の住んでいた世界のことで良ければ、
いくらでもお教えできますから。」
「その言葉を待っておったよ。
今度こそは、
ゆっくり酒を飲みながら話したいのう。」
この日一番の笑顔を見せてくれたピクシスは、
ここに来てからたったの一度も
口にしていなかった、
かなり前から配膳されていた酒を、
一気に飲み干した。