第68章 火花飛び散る会話
「そうだったらいいけど。
まだ違うんだよね?」
モブリットにまで顔を覗き込まれ、
もう逃げ場所はない。
しかもこの問いの後の沈黙は、
完全に私が答えるまで先に進まない。
という二人の意思表示ではなかろうか。
「……好きだけど、
まだ、そういう好きとは違うかなぁと……
いや、ごめん。
なんかうまく言えないんですが、」
もう自分でも
何を言っているのか分からないが、
取り敢えず
質問に答えると言う任務は達成した。
……これでいいんだ!!!
そう自分に言い聞かす。
熱い頬を手で覆っていると、
頭に優しい手の感触が落ちてきた。
「言わせてごめん。分かってるから。」
モブリットの声は穏やかで、
手の温度と同じの暖かみがある。
思わずその手を握ってしまいたい衝動に
駆られるが、
「……そろそろ着くから、
いちゃつくの止めてくれますか?」
と言う不機嫌そうなジャンの声によって、
抑制することが出来た。