第64章 弱気、だけど強気
「エルヴィン、結構気にしてたんだね。」
執務机の上でのコトを終え、
ベッドに運ばれた直後、呟くように問いかける。
「……ああ。
最近毎回のように泣かれてるからな。」
「……そうだったかな。」
自分が泣いていたという記憶がない。
というか、その時はその行為に夢中すぎて、
自分が涙を流しているかなんて
気にしている暇はなかった。
「確かに何度か泣いていたことはあったが、
こう毎回涙を見ると、
気持ちよさそうな演技しているだけで、
実際は苦しいんじゃないか、
なんてことを思ってしまう。」
「そんな演技、私に出来ると思う?」
「……思わない。
が、思ってしまうくらい心配だったんだよ。」
「……珍しく弱気だね。」
「自分だけが楽しんでいるのでは
意味がないからな。」
少し拗ねたような顔が可愛くて、
思わず頬に唇を寄せた。